ABSTRACT 9(1-1)
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サルモネラ菌において発現させたヒトNAT2変異体のヘテロサイクリックアミン代謝的活性化能の検討:鈴木昭浩1,山田雅己2,能美健彦2,藤田健一1,鎌滝哲也11北大院・薬・医療薬学,2国立医衛研・変異遺伝)

Mutagenicity of heterocyclic amines in genetically engineered Salmonella expressing polymorphic human N-acetyltransferase 2 variants.:Akihiro SUZUKI1,Masami YAMADA2,Takehiko Nohmi2,Ken-ichi FUJITA1,Tetsuya KAMATAKI1(1Grad. Sch. Pharm. Sci.,Hokkaido Univ.,2Div. of Genet. Mutagen., NIHS)

【目的】変異原物質の代謝的活性化に関与するヒトN-アセチルトランスフェラーゼ(NAT)2には遺伝的多型が存在する。この遺伝的多型がヒトにおける発がん感受性に及ぼす影響を検討する目的で、ヒトNAT2変異体を発現するサルモネラ菌を作製し、各菌株の変異原物質代謝的活性化能を比較検討した。【材料と方法】野生型あるいは4種類のヒトNAT2変異体発現プラスミドを、アセチルトランスフェラーゼ欠損株YG7130に導入することによりYG7130/NAT2*4(以下Wild)、/NAT2*5(以下M1a)、/NAT2*12A(以下M1b)、/NAT2*6B(以下M2)、/NAT2*7A(以下M3)を、また対照として発現用プラスミドを導入したYG7130/C(以下C)を作製した。各菌株の代謝的活性化能をヘテロサイクリックアミン(HCA)による誘発復帰変異コロニー数を指標として検討した。【結果と考察】ノーザンブロット分析による各菌株のNAT2 mRNA量はほぼ同等であった。一方C株ではシグナルは検出されなかった。各菌株のイソニアジド代謝活性は、M1aではWildの1/100、M1bは同値、M2、M3は共に1/2であった。Cは検出限界以下であった。HCAの変異原性比活性(MP)はM1aではいずれもWildの1/100、M1bではWildとほぼ同値であった。一方、M2、M3におけるHCAのMPはIQ等で共にWildの1/2であったのに対し、MeIQ、MeIQxのMPはそれぞれWildの2/5、1/10 (M2)、7/10、2/5 (M3)と、異なる結果となった。NAT2が代謝的活性化に関与しないと考えられているTrp-P-2、PhIPのMPは各菌株ともWildとほぼ同値であった。これらの結果から、NAT2変異体の活性の差が発がん感受性に影響する可能性が示唆された。