ABSTRACT 16(1-2)
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ハムスター短期膵発癌モデルにおけるheterocyclic amineの発癌促進効果:吉本雅俊1,堤雅弘1,赤井弘幸1,辻内俊文1,伊木勝道,若林敬二2,小西陽一11奈良医大・がんセ・腫瘍病理,2国立がんセ・生化)

Enhancing effects of heterocyclic amine on pancreatic carcinogenesis in hamsters : Masatoshi YOSHIMOTO1, Masahiro TSUTSUMI1, Hiroyuki AKAI1, Toshifumi TSUJIUCHI1, Katsumichi IKI1, Keiji WAKABAYASHI2, Yoichi KONISHI1 (1Dept. of Oncological Pathology, Cancer Center, Nara Med. Univ., 2Biochem. Div., Natl. Cancer Center Res. Inst.)

<目的>heterocyclic amineはアミノ酸や蛋白質のpyrolysisにより得られるmutagenic substancesであり、ラットやマウスにおいて種々の癌を誘発することが知られているが、膵臓に対する発癌性の報告はない。前回我々は、ハムスター短期膵発癌モデルに対し、膵管上皮過形成の時期に8種類のheterocycric amineを投与した結果、2-Amino-1,4-dimethyl-5H-pyrido[4,3-b]indole (Trp-P-1)と2-Amino-3,4,8-trimethylimidazo[4,5-f]quinoxaline (4,8-DiMeIQx)が膵発癌促進作用を有する可能性が示唆された。そこで今回は、Trp-P-1の作用を確認するために、投与期間を延長して実験を行った。<材料、方法>6週齢雌シリアンゴールデンハムスターにN-Nitrosobis(2-oxopropyl) amine(BOP)を投与した後、一連の促進圧力操作を施行し、イニシエイトされた細胞群を選択的増殖へと導いた。その後、Trp-P-1を飼料に混じて投与した。投与期間は前回の50日間から20日間延長し、70日間とした。実験開始後127日目に全ハムスターを屠殺し、病理組織学的に膵管病変を検索した。<結果>Trp-P-1投与群における膵癌の発生頻度は67% と、対照群の33%に比し有意差はないものの増加傾向を示し、1匹あたりの膵癌発生個数は1.6個と対照群の0.5個に対し有意な増加が見られた。以上、ハムスター短期膵発癌モデルにおいて、Trp-P-1は膵発癌促進作用を有することが明らかになった。