ABSTRACT 17(1-2)
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フェネチルおよびベンジルイソチオシアネートの強力な膀胱発がん促進および細胞増殖作用:広瀬雅雄1,2, 木本直哉1, 山口 剛1, 佐野真士1, 小川久美子1, 杉浦 諭1, 白井智之11名市大・医・1病理, 2国立医衛研・病理)

Strong promotion and cell proliferation activities of phenethyl isothiocyanate (PEITC) and benzyl isothiocyanate (BITC) on rat urinary bladder epithelium: Masao HIROSE1,2, Naoya KIMOTO1, Tsuyoshi YAMAGUCHI1, Masashi SANO1, Kumiko OGAWA1, Satoshi SUGIURA1, Tomoyuki SHIRAI1(11st. Dept. Pathol., Nagoya City Univ., Med. Sch., 2Div. Pathol., National Inst. Health Sci.)

【目的】ワサビの成分で、化学予防剤として知られているPEITC およびBITC のラット膀胱および肝発がんに対する効果を検討した。【方法】DENとBBNでイニシエーション処置を行ったF344 雄ラットに0.1%PEITC、BITCを混餌投与した。イニシエーションを行わないそれぞれの対照群も設けた。36週で屠殺し、膀胱と肝の腫瘍性病変について検討した。またPEITC、BITCを1週間投与し、経時的に初期病変について検討した。【結果】膀胱癌の頻度はイニシエーションを行った群で対照の24%に対しPEITC、BITC群いずれも100%と著しく増加した。イニシエーションを行わない群でもPEITC, BITC群の全例にPN過形成、PEITC群の2例に癌が認められた。肝ではfociの平均発生個数がPEITC群で軽度増加した。BrdU標識率は1-7日で強く増加し、過形成は2日で認められ7日では粘膜全体にPN過形成が発生した。炎症やびらんも1-3日目に発生した。これらの変化はBITCで、また雄でより強く認められた。【結論】PEITCとBITCはいずれも強力な膀胱発がん促進物質で、単独での発がん性も強く疑われた。投与初期から起こる細胞障害と細胞増殖がその発生に大きく関与していると考えられた。