ABSTRACT 21(1-2)
肺発癌過程におけるp16INK4a/CDKN2遺伝子異常の検索:高濱誠1,2,堤雅弘1,辻内俊文1,城戸顕1,崎谷博征1,伊木勝道1,吉本雅俊1,佐々木康隆1,小西陽一1(1奈良医大がんセ・腫瘍病理,2第3外科)
Identification of the characteristics of p16INK4a/CDKN2 during lung carcinogenesis induced by N-nitrosobis(2-hydroxypropyl)-amine in Rats: Makoto TAKAHAMA1,2, Masahiro TSUTSUMI1, Toshifumi TSUJIUCHI1, Akira KIDO1, Hiroyuki SAKITANI1, Katsumichi IKI1, Masatoshi YOSHIMOTO1, Yasutaka SASAKI1, Yoichi KONISHI1 (1Dept. of Oncol Pathol., Cancer Center, 2Dept. of Surg III, Nara Med., Univ.)
[緒言および目的] 今回我々は肺発癌過程におけるp16の関与を検索することを目的とし,我々が樹立した肺非小細胞癌モデルを用いて以下の実験を行なった.[材料および方法]6週齡Wistar系雄性ラットを用い,N-nitrosobis(2-hydroxypropyl)amineを12週間経口投与した後,実験開始後28週目に屠殺解剖し心肺ブロックを摘出した.H-E染色にて肺胞上皮化成,腺腫,腺癌の各組織を確認後,その部位よりMicrodissection法にてDNAを抽出した.p16 exon 1におけるDNAレベルでの異常をPCR-SSCPおよびDirect sequeceにて検索した.またmRNAが抽出し得た腫瘍(腺腫5例,腺癌5例)に対して Northern解析を行なった.[結果および考察] exon 1において腺腫および腺癌においてはhomozygous deletion が認められた(11.1%および20%). またexon 1におけるpoint mutation は認められなかった.p16 mRNAの発現は腺腫では減弱2例,腺癌では消失1例,減弱1例であった. p16の異常の頻度は腫瘍の悪性度につれて上昇し,肺発癌に関与していることが判明した.現在対象例を増やし,p16蛋白の発現異常の検索及びメチル化の異常の検索を行なっている.