ABSTRACT 24(1-2)
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ラット膀胱粘膜可逆性、不可逆性増殖病変におけるp27kip1およびCyclinD1発現の経時的変化:小川久美子1,2, 木本直哉1, 池田佳久1, 今井田克己1, 中西 真3, 白井智之11名市大・医・1病理, 2名古屋市厚生院, 3国立長寿研)

Sequential changes of the p27kip1 and CyclinD1 expression in the rat bladder reversible and non-reversible mucosal proliferative lesions: Kumiko OGAWA1,2, Naoya KIMOTO1, Yoshihisa IKEDA1, Katsumi IMAIDA1, Makoto NAKANISHI3, Tomoyuki SHIRAI1 (11st Dept. Pathol., Nagoya City Univ. Med. Sch., 2Nagoyashi Kohseiin Geriatric Hospital, 3Dept. of Geriatric Res., Natl. Inst. for Longevity Sciences.)

細胞増殖制御に重要な役割を示すp27kip1およびCyclin D1の発現の変化をラット膀胱粘膜の可逆性および不可逆性病変について経時的に検討した。【方法】a) Uracilを4週間混餌投与し、投与第1週および投与中止後2日, 1 , 2週の膀胱を免疫組織化学染色にて検討した。b)BBNを4週間飲水投与し続いてUracilを8週間混餌投与した。Uracil投与中および投与中止後1, 2, 8週の膀胱について同様に検討した。【結果】a)p27kip1はUracil投与中の過形成粘膜でも無処置膀胱と同様の弱い発現を示し、投与中止後、過形成の可逆化に伴い急激に増加した。Cyclin D1の発現はUracil投与中は無処置膀胱に比べ顕著に増加したが、投与中止に伴い低下した。b)BBNでイニシエーションを行うと、p27kip1はUracil投与後、可逆性過形成病変では発現が増加したが、8週後にも残存する不可逆性の腫瘍性病変では増加しなかった。Cyclin D1はUracil投与後、可逆性病変では発現が低下し、不可逆性腫瘍性病変では高発現が継続した。【結論】BBNおよびUracilで誘発したラット膀胱の可逆性過形成病変では、消退に伴ってp27kip1の発現亢進とCyclin D1の発現低下が起こるが、不可逆性腫瘍性病変ではUracilによる増殖刺激を中止後もそうした反応が起こらず、選択的な細胞増殖制御機構の変異が示唆された。