ABSTRACT 28(1-3)
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p53ノックアウト (ヘテロ欠損) CBA/ORJマウスにおけるN-ethyl-N-nitrosourea (ENU) による子宮腫瘍の誘発とその癌抑制遺伝子変異:小野寺博志1,三森国敏1,竹川潔1,安原加壽雄1,高木久宜1,高橋道人1,広瀬雅雄1,丸山千佳2,若菜茂晴21国立医衛研・病理、2実中研)

Induction of uterine tumors in heterozygous p53 deficient CBA/ORJ mice treated with N-ethyl-N-nitrosourea and p53 point mutations of the tumors : Hiroshi ONODERA1, Kunitoshi MITSUMORI1, Kiyoshi TAKEGAWA1, Kazuo YASUHARA1, Hisayoshi TAKAGI1, Michihito TAKAHASHI1, Masao HIROSE1, Chika MARUYAMA2, Shigeharu WAKANA2 (1Div. of Pathol., Ntl. Inst. Hlth. Sci., 2Central Inst. Exp. Anim.)

癌抑制遺伝子であるp53をノックアウトしたマウスが種々の遺伝子傷害性発がん物質に対し高い感受性を示すことから,短期発癌性試験用動物としての有用性が注目されている.我々は多臓器発がん物質であるENUを投与し,標的臓器を検索すると共に,誘発された子宮腫瘍のp53遺伝子変異の有無を検索した.(実験方法)p53遺伝子の片側アレルをノックアウトしたCBA/ORJ マウス(KO) (オリエンタル酵母)及びその同腹仔の野生型マウス(Wild)各20匹にENU 120mg/kgを一回腹腔内投与し26週間観察した.(結果)ENU投与KOマウスで子宮内膜肉腫がWildマウス(20%)に比し,高率(90%)に誘発された. 肺腫瘍もENU投与により誘発されたが, KOとWildマウス間で発生頻度に差は認めなかった. その他,胸腺腫や皮下腫瘍がKOマウスで誘発された. 検索したKOマウスにおける子宮腫瘍ではp53のコドン135にAla→Valの変異を伴う点突然変異が全例に認められた.(まとめ)p53KOマウスはENUの特に子宮発がんに対して感受性が高く, p53 変異を伴う子宮腫瘍が26週までに高率に誘発されたことから, このKOマウスが子宮発がんモデルとして有用であることが示唆された.