ABSTRACT 31(1-3)
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活性酸素誘発ラット腎発癌モデルにおけるチオレドキシン系酵素の変化について:岩佐葉子1,田中智之1,Ho-Zoon Chae2,近藤昌平1,淀井淳司3,,日合弘1,豊國伸哉1(京大1院・医・病態生物医学,3ウイルス研・生体応答,2Chonnam National Univ., Korea)

Alteration of thioredoxin system in free radical-induced rat renal carcinogenesismodel:Yoko IWASA1,Tomoyuki TANAKA1, Ho-Zoon CHAE2, Shohei KONDO1, Junji YODOI3,, Hiroshi HIAI1, Shinya TOYOKUNI1(1Dept.Pathol.Biol.Dis.,3,Virus Res.Ins.,Kyoto Univ.,2Dept.Biol.,Chonnam Natl.Univ.,Korea)

鉄ニトリロ三酢酸 (Fe-NTA)腹腔内投与によるラット腎発癌モデルでは,活性酸素を介した腎近位尿細管の変性壊死の後,腎細胞癌(RCC)が高率に発生する。このモデルを用いて細胞内の主要な抗酸化系の一つであるチオレドキシン系の変化を検討した。thio-redoxin(Trx),thioredoxin reductase(TR),thioredoxin peroxidase(TPx typeI-V)から成るチオレドキシン系はin vitroでthiyl radicalを特異的に消去することが知られており,過酸化水素,紫外線暴露等のストレスによって発現が亢進することが報告されている。[方法]特異抗体によるウエスタンブロットとノーザンブロットを行った。[結果]1.Trx: 少量 (Fe 5mg/kg)投与で急性期にTrxの一過性の発現亢進が見られたが,発癌投与量(10,15mg/kg)では減少した。RCCでは蛋白,RNAともに有意に低下した。2. TPx: 腎では typeI-IIIが検出された。蛋白レベルはFeの量にかかわらず,急性期では時間とともに減少し,RCCにおいても減少傾向を示したが,RNAレベルに変化は見られなかった。
[結論]活性酸素による発癌では,チオレドキシン系酵素のうち,Trxが転写レベルで抑制されていると考えられる。