ABSTRACT 36(1-3)
Lymphoblastoid cell line におけるXanthine/Xanthine oxidase による apoptosis の誘導とInterleukin-6 によるその抑制:三輪秀明,菅野祐幸,棟方 哲,青笹克之(阪大・医・病理病態)
Suppression of Xanthine /Xanthine oxidase-induced apoptosis of lymphoblastoid cell line by Interleukin-6: Hideaki MIWA, Hiroyuki KANNO, Satoru MUNAKATA, Katsuyuki AOZASA (Dept. of Pathol., Osaka Univ. Med. School)
節外性の悪性リンパ腫の発生に慢性炎症が関与することが疫学的に明らかにされている。炎症巣には、 活性酸素等、 遺伝子傷害を来しうるmediator が存在し、炎症性因子による遺伝子異常蓄積促進の可能性がある。今回我々は、 lymphoblastoid cell line (LCL) を対象として炎症性cytokine のapoptosis への影響を調べた。LCL 培養系にXanthine/Xanthine oxidase (X/XOD)を添加すると trypan blue 陽性の死細胞の出現が見られた。死細胞率は Xanthine 及び Xanthine oxidase に対し濃度依存性を示した。DNA アガロースゲル電気泳動によりX/XOD 添加4〜8時間後、死細胞の出現に先駆けて約 200 bp 間隔のラダーの出現を認め本細胞死 が apoptosis であることを確認した。次にLCL をIL-6, IL-10, Interferon-γ で一定時間前処理した後、X/XOD を添加したところ、IL-6 前処理でのみ apoptosis の抑制を認めた。この効果は、IL-6の前処理時間および濃度に依存性を示した。 またIL-6 処理によるbcl-2遺伝子の発現増強をNorthern blot 法にて確認した。 以上の結果は、炎症巣においてcytokine、特にIL-6 により、活性酸素によるBリンパ球の apoptosis が抑制され、遺伝子傷害の蓄積が促進される可能性を示唆している。