ABSTRACT 39(2-1)
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B型肝炎ウイルスpreS1蛋白によるtransforming growth factor-α遺伝子の活性化:小野正文1,谷口武利2,西原利治1,大西三朗11高知医大・一内,2高知医大・機器セ)

Transactivation of transforming growth factor-α gene by Hepatitis B virus preS1 :Masafumi ONO1, Taketoshi TANIGUCHI2, Toshiji SAIBARA1, Saburo ONISHI1, (1,1st Dept. of Int. Med., Kochi Med.School, 2,Lab.Mole.Biol., Med.Res.Cen., Kochi Med.School)

【目的】B型肝炎ウイルス(HBV)は肝発癌の重要な原因になっている。HBVの持続感染肝細胞では高頻度にtransforming growth factor-α(TGF-α)の発現が認められ、発癌過程にTGF-αが関与すると想定されている。しかしなぜHBV感染肝でTGF-αの発現が高まっているのか、わかっていない。我々はHBVpreS1がトランス活性能を持つことをすでに明らかにしており、今回HBVpreS1がTGF-αの発現増加に関与し、肝発癌を誘発、増進する可能性について検討した。
【方法】ヒト肝細胞株PRF/PCR/5よりPCR法にてpreS1部分を採取し発現plasmidにpreS1を導入し、3種類のTGF-αpromoter-luciferase reporter plasmidsと共にヒト肝細胞癌株HuH-6細胞にトランスフェクションし、誘導されるluciferase活性を測定した。また、preS1遺伝子を形質導入したHuH6細胞のTGF-αmRNA量および蛋白発現量をコントロールにおける発現量と比較した。
【成績】luciferase assayではHBVpreS1はTGF-αpromoterを2倍にトランス活性化し、その転写調節領域は-373から-59の部分に限定された。また、preS1遺伝子を形質導入したHuH6細胞で、TGF-αmRNA、及び蛋白発現の増加が認められた。
【結論】今回我々が示した、preS1がTGF-αの発現を転写レベルで増強する事実は、HB患者のHCC発生機序を理解する上でとても重要な事柄であると考えられる。