ABSTRACT 41(2-1)
 一般演題一覧 トップ 


B型肝炎ウィルスX蛋白の転写仲介作用の分子機構: Lin Yong、Dorjbal Dorjsuren、Wei WenXiang、野村孝弘、村上清史(金沢大・がん研・腫瘍分子 )

Molecular mechanism of the co-activator function of Hepatitis B Virus X protein: Lin YONG, Dorjbal DORJSUREN, Wei WenXiang, Takahiro NOMURA, and Seishi MURAKAMI (Dept. Mol. Oncol., Cancer Res. Inst., Kanazawa Univ.)

B型肝炎ウイルス(HBV)X蛋白(HBx)は、トランス活性化により宿主の増殖及び炎症関連遺伝子を活性化して、がん化に寄与していると推定されている。前回までに、HBxトランス活性化の1つの経路がHBxと転写装置との直接的な相互作用による転写修飾であり、RNAポリメラーゼサブユニットRPB5及び転写基本因子TFIIBとの3者相互作用がトランス活性化に寄与すること、 HBxとGal DNA結合ドメインの癒合蛋白は転写活性化を示さず、 HBxはGal-VP16の転写活を促進することなどを報告してきた。これらから、HBxには転写仲介(transcriptional co-activator) 機能があり、従来in vivoで観察されたHBxのトランス活性化はこれに由来する可能性が提示された。
今回我々は、転写仲介効果とin vivoトランス活性化能との関連を明らかにする目的で、1)HBxのトランス活性化と転写仲介効果に必要な領域の比較を、各種の欠損及び置換変異HBxを用いて検討し、2)内在性の転写因子による転写活性化にHBxが転写仲介効果を示す可能性をin vitro転写系で検討した。
その結果、1)HBxの転写仲介効果に必要な領域はHBxのトランス活性化ドメインと一致し、トランス活性化が極端に低下する置換変異HBxでは転写仲介機能も低下した。2)X応答性シス配列であるAP-1結合配列及びHBV Enh1 core配列で駆動されるレポーター系を用いたin vitro 転写系で、HBxは転写活性を促進した。これらの結果は、in vivoで観察されるHBxのトランス活性化がHBxの転写仲介機能に基ずく可能性を強く示唆した。