ABSTRACT 46(2-1)
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HCV core 蛋白の肝細胞再生・増殖に対する影響について:本多 新1,2,幡野雅彦1,横須賀収2,下遠野邦忠3,徳久剛史11千葉大・分化制御,2千葉大・医・一内,3京大・ウイルス研・がんウイルス )

HCV core protein affects hepatocyte regeneration : Arata HONDA1,2, Masahiko HATANO1, Osamu YOKOSUKA2, Kunitada SHIMOTOHNO3, Takeshi TOKUHISA1 (1Dept. of Development Genetics, Chiba Univ. Sch. Med., 2 1st. Dept. of Med., Chiba Univ. Sch. Med., 3Dept. of Viral Oncology, Inst. Virus Res., Kyoto Univ. )

【目的】C型肝炎ウイルス(HCV)は、慢性肝炎、肝硬変、肝細胞癌の重要な因子であるが、その炎症から発癌に至る機序はいまだ不明である。我々は既にトランスジェニックマウス(Tg)を用いHCVcore蛋白の発癌能について報告したが、今回さらに少量のanti-Fas抗体反復投与に対する肝細胞の反応を正常マウスと比較することにより、HCVcore蛋白が肝細胞に与える影響について検討した。
【方法】B型肝炎ウイルスX遺伝子プロモーター(Px)の支配下にHCV core 蛋白をコードする遺伝子(core)を組み換え作製したTg(Px-core)に少量のanti-Fas抗体を静脈内反復投与し、その反応をトランスアミナーゼ値、病理組織像により正常マウスと比較検討した。
【結果】正常マウスに少量のanti-Fas抗体を静脈内反復投与すると、肝細胞は2回目以降のanti-Fas抗体投与に対し非感受性になった。この非感受性は初回投与後16週を過ぎても維持されていた。しかしPx-coreTgにおいては、初回投与と2回目投与との間隔が4週、8週ではanti-Fas抗体に対し非感受性であったが、12週以上経過するとその感受性は初回投与と同程度まで回復した。また、正常マウスに少量のanti-Fas抗体を静脈内初回投与した後、2回目投与の1週間前に肝左葉切除を施した場合は、anti-Fas抗体に対し初回投与と同程度の感受性となった。
【結論】正常マウスでanti-Fas抗体投与により誘導される感受性の低下は、再生肝では認めなかった。Px-coreTgでanti-Fas抗体投与後の感受性が早期に回復したことから、HCVcore蛋白が肝細胞の再生・増殖に何らかの影響を及ぼしている可能性が示唆された。