ABSTRACT 47(2-1)
HCVトランスジェニックマウスにおける急性肝障害モデル:脇田隆字1,加藤純子1,勝目朝夫1,2,多屋長治3,米川博通3,鐘ヶ江裕美4,斎藤 泉4,林 幸子5,小池盛雄5,小原道法1(1東京都臨床研・放医,2中外製薬・富士御殿場研,3東京都臨床研・実験動物,4東大医科研,5都立駒込病院.)
Acute hepatitis model using Hepatitis C virus (HCV) transgenic mice.:Takaji WAKITA1, Junko Kato1, Asao Katsume1,2, Choji TAYA3, Hiromichi YONEKAWA3, Yumi KANEGAE4, Izumu SAITO4, Yukiko Hayashi5, Morio KOIKE5, Michinori KOHARA1. (1Dept. of Microbiology and 3Dept. of Lab. Animal Sci. The Tokyo Metro. Inst. of Med. Sci., Fuji-Gotemba Lab., 2Chugai Phermaceutical. 4Lab. of Molecular Genetics, The Institute of Med. Sci., The Univ. Tokyo, 5The Tokyo Metro. Komagome Hospi.)
C型肝炎ウイルス(HCV)の病原性を解析するために、Cre/loxPシステムによるHCVトランスジェニック(Tg)マウスを開発した。このTgマウスにおいてHCV蛋白質発現に引き続き発症する肝障害とその発症機序について解析した。Tgマウス2ラインおよび非トランスジェニックマウス(n=4~7)にCreを発現する組み換えアデノウイルスを投与してHCV遺伝子発現を誘導した。投与後3日目以降のTgマウス肝臓でHCV蛋白質の発現を特異的に検出した。投与後7日目には血清ALT値の急激な上昇を伴う肝障害が観察され、その後徐々に回復した。Tgマウスの肝障害はコントロールに比べ有意に強く、遷延化する傾向にあった。このTgマウスの肝障害は肝臓内のCD8細胞の増加と血清中の炎症性サイトカインの上昇を伴っていた。さらに、Tgマウスの脾細胞にはHCV蛋白質を認識する細胞障害性が認められた。14日目以降の血清中に抗HCVコア抗体も検出でき、HCV蛋白質に対する特異的な免疫反応が誘導されていることが確認できた。このTgマウスのHCV蛋白質発現に伴う肝障害はHCV蛋白質の直接障害よりも、細胞障害性T細胞とくにCD8陽性細胞が重要であることが示された。