ABSTRACT 76(4-1)
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一酸化窒素による転写因子HIF-1の活性化:倉島由紀子,木村秀生,小倉勤,橋本耕一,陳勁松,人見嘉哲,江角浩安(国立がんセ・研・支所・がん治)

Activation of Transcription Factor HIF-1 by Nitric Oxide:Yukiko KURASHIMA,Hideo KIMURA,Tsutomu OGURA,Kouichi HASHIMOTO,Keisho CHIN,Yoshiaki HITOMI,Hiroyasu ESUMI (Inv. Treat.Div., Natl.Cancer Ctr.Res.Inst.East)

[目的]VEGF (vascular endothelial growth factor) は腫瘍細胞が分泌する血管増殖因子である。我々はNOによってVEGFが誘導されることを明らかにした。低酸素状態でVEGFの誘導に働く因子として、そのプロモーター領域のHRE (hypoxia respose element) に結合するHIF-1 (hypoxia inducible factor-1) が報告されているが、NO処理によってもHIF-1が活性化されるか否かを検討した。[方法]ヒト神経膠芽腫A172細胞を自発的にNOを放出するSNAPやNOC5で処理し核タンパク質を抽出後、HRE配列を用いたElectrophoretic Mobility Shift Assays でHIF-1の活性化を調べた。[結果]HIF-1は細胞を0.5mM SNAP処理後30分から検出され1〜2時間後にピークに達し8時間以後徐々に減少した。また細胞をSNAPと同時にGuanylate cyclase 阻害剤のLY83583やタンパク質合成阻害剤のCycloheximideで処理した場合、HIF-1のバンドは検出されなかった。低酸素によるHIF-1の活性化はLY83583では阻害されずNOとは異なるシグナル伝達でHIF-1の活性化を行うことがわかった。NOからHIF-1活性化へのシグナルとその生化学的メカニズムの詳細についてもあわせて報告する。