ABSTRACT 84(4-1)
 一般演題一覧 トップ 


DNAトポイソメラーゼIIα遺伝子の熱ショックによる発現上昇の分子機序:古川学1,内海健1,野本実2,河野公俊2,桑野信彦11九大・医・生化,2産医大・分生)

Up-regulation of DNA topoisomerase IIα gene expression in response to heat shock.: Manabu FURUKAWA1, Takeshi UCHIUMI1, Minoru NOMOTO2, Kimitoshi KOHNO2, Michihiko KUWANO1 (1Dept. of Biochem., Kyushu Univ. Sch. Med., 2Dept. of Mole, Biology, Univ.of Occupational and Enviromental Health)

[目的]熱ショックストレス下でDNAトポイソメラーゼIIα(トポIIα)遺伝子の発現が上昇していること、熱ショック(温熱療法)の併用によりトポIIを標的とする抗癌剤に対する感受性が上昇することがすでに報告されている.今回我々は、ヒト膀胱癌培養細胞株T24を用いて熱ショックストレス下でのトポIIα発現上昇の機序について検討した.[方法]1,ヒトDNAトポIIαプロモーター領域をクローン化し、欠失変異レポータープラスミドを作成した.T24細胞にプラスミドを導入し、熱ショック下のトポIIalphaの転写活性を解析した.2,ゲルシフト法及びIn vivo フットプリント法を用い、熱ショックストレス下で、トポIIαプロモーターに結合する因子の解析を行った.[結果・考察]1,43度1時間の熱ショック後トポIIαプロモーター活性は上昇し、24時間後に最大約3倍の活性上昇を認めた。2,欠失及び変異レポータープラスミドを用いた解析により熱ショックによるプロモーター活性の誘導には転写開始点に最も近いinverted CCAAT element (ICE1)を含む領域が重要であると考えられた.3,ゲルシフト法及びIn vivo フットプリント法を用いた解析により、熱ショック後 ICE1に結合していた因子の結合活性が減少していた.これらの結果より、熱ショックによってICE1 に結合していた抑制因子が離合することによりトポIIalpha転写活性が上昇するものと考えられた.現在この因子のについて解析をすすめているのでその結果も合わせて報告する.