ABSTRACT 85(4-2)
AML1 遺伝子産物とTLE 蛋白質の結合様式および相互作用の解析:今井陽一、黒川峰夫、田中耕三、矢崎義雄、平井久丸(東大・医・三内)
TLE, the Human Homolog of Groucho, Interacts with AML1and Acts as a Repressor of AML1: Youichi IMAI, Mineo KUROKAWA, Kozo TANAKA, Yoshio YAZAKI, Hisamaru HIRAI (3rd Dept. Int. Med., Fac. Med., Tokyo Univ.)
AML1 遺伝子は t(8;21), t(3;21) および t(12;21) 転座型白血病において再構成を受け、白血病発症に広く関与する。 AML1 遺伝子の転写活性化型産物であるAML1b は 、その C 端にVWRPY という5アミノ酸配列を有する。 HairyはDrosophilaの発生に関与する転写抑制因子であるが、AML1のVWRPY配列と類似するWRPW配列をC端に有し、この配列を介してGroucho蛋白質と結合し、この相互作用がHairyの転写抑制活性に必要なことが示されている。 TLE はGrouchoと相同性を有するヒトの蛋白質であるが、今回我々は AML1 と TLE の相互作用の有無について検討を行った。その結果、 TLE は 主にSP 領域を介してAML1 と結合することが明らかとなった。さらにAML1bの転写活性化能がTLEによって普遍的に抑制されること、その抑制はVWRPY配列を含むC端を介して行われることを見い出した。これらの結果からTLE はAML1 の negative regulator として機能することが明らかとなった。今回は、併せてさらに詳細な相互作用の分子機構について報告する。