ABSTRACT 87(4-2)
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乳児白血病においてMLL遺伝子と融合遺伝子を形成するAF-5α遺伝子の機能解析:小寺隆雄,滝智彦,横田淳,森下和廣( 国立がんセ・研・生物 )

Characterization of the AF-5α gene which is fused with the MLL gene in infant leukemia: Takao KODERA,Tomohiko TAKI,Jun YOKOTA,Kazuhiro MORISHITA ( Biol. Div., Natl. Cancer Center Res. Inst. )

乳児急性単球性白血病のMLL遺伝子異常の解析から、新しいMLL融合遺伝子としてAF-5α遺伝子を単離した。AF-5α遺伝子産物は酸性アミノ酸領域、coiled-coil構造、Leucine zipper構造を持ち、核内蛋白質であると考えられた。正常AF-5α遺伝子の機能、また白血病との関わりを調べるため、マウスAF-5α遺伝子を単離し、AF-5α遺伝子の発現様式の検討と、センス遺伝子の強制発現による顆粒球系細胞への影響を解析した。(1)マウスAF-5α遺伝子は、ヒト遺伝子と87%の相同性を示した。(2)その発現はマウスIL-3依存性細胞株32Dcl3において細胞増殖時に見られた。(3)細胞分画法、免疫染色法にてAF-5α蛋白質は核分画、特に細胞分裂期の凝集クロマチンに存在していた。(4) 32D細胞でAF-5α遺伝子を強制発現させたところ、コントロール細胞ではIL-3除去によるapoptosisがG-CSFによって抑制され、さらに顆粒球へ分化したが、AF-5α強制発現株ではapoptosisの抑制が弱く、顆粒球へ分化する細胞が減少した。(5)さらにAF-5α強制発現株ではG-CSF receptor遺伝子の転写発現が低下していた。以上よりAF-5α遺伝子は直接、間接的にDNAに結合し、G-CSF receptorを含む遺伝子群の発現を調節することによって、顆粒球系細胞の分化、増殖に関わっていることが示唆された。