ABSTRACT 88(4-2)
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表面型 sm大腸癌における癌関連遺伝子の解析:秋山好光1, 長崎弘美1, 新井健広2, 八木オズマール賢次2, 斎藤澄3, 湯浅保仁1 ( 1 東京医歯大・医・衛生, 2 同・1外, 3 国立医療セ・病理)

Genetic alterations in superficial colorectal cancers with submucosal invasion: Yoshimitsu AKIYAMA1, Hiromi NAGASAKI1 , Takehiro ARAI2 , Osmar Kenji YAGI2 , Kiyoshi SAITOH3 & Yasuhito YUASA1 (1,2 Tokyo Med. & Dent. Univ. Sch. Med., 3 Int. Med. Center)

【目的】表面(II )型早期大腸癌はde novo発癌との関連が考えられているが、その遺伝子解析は殆ど行われていない。今回、我々はII 型大腸癌の発癌機構を解明するため、進行大腸癌で異常の頻度が高い癌抑制遺伝子APCとp53、および染色体欠失を検討した。【対象と方法】 II 型早期大腸癌のうち、腺腫成分を含まない sm 癌28例を対象とした。それらのDNAを用いて、APC遺伝子内のmutation cluster領域(MCR)およびp53遺伝子のエクソン5から8のPCR-SSCP解析を行った。更にp53は免疫組織染色を行い、蛋白発現も解析した。また、進行大腸癌で高頻度に染色体欠失が認められている1p34-36、8p21-22、14q32、18q21と22q12-13領域は、microsatellite markerを用いてヘテロ接合性の消失(LOH)を検討した。【結果】APC遺伝子の異常は28例中4例(14.3%)にのみ検出された。p53遺伝子、またはその蛋白発現の異常は11例(39.3%)に認められた。現在、これらの遺伝子変異について塩基配列決定を行っている。18q21領域内でのLOHの頻度(27例中14例、51.9%)は、他の調べた染色体領域のそれ(0〜18.8%)に比べ有意に高かった(P<0.04)。また18q21のLOHが認められた大腸癌のうち、p53遺伝子にも異常が検出された癌は9例であった。【考察】今回調べたII 型 sm 大腸癌ではAPCの関与は低いことが示唆された。 一方、これらの癌では18q21領域に存在する遺伝子とp53のどちらか、または両方が関連していることが推測された。