ABSTRACT 90(4-2)
 一般演題一覧 トップ 


細胞増殖に関わるDEAD ボックス蛋白rck/p54: 赤尾幸博1、大石誠子2、八木国夫1,21岐阜県国際バイオ研、2応用生化研)

The rck/p54 of DEAD box protein/RNA helicase is associated with cell growth: Yukihiro AKAO1, Nobuko OHISHI2, Kunio YAGI1,2 ( 1Gifu Int. Inst. Biotech., 2Inst. Applied Biochem)

1992年、t(11;14)(q23;q32) 転座(B 細胞悪性リンパ腫の5%)を有するB 細胞リンパ腫株より、11q23に局在する転座標的遺伝子 RCKを見い出した。RCKcDNA 塩基配列のホモロジー検索ではDEAD ボックス蛋白 (RNA helicase family) であることが示された。ヒトの組織ではRCK 遺伝子mRNAの普遍的な 発現がみられるものの、蛋白は大脳皮質、肺、横紋筋組織で発現が殆ど認められなかった。興味あることに、これらRCK 蛋白 (rck/p54) 陰性の組織由来の腫瘍細胞株では多量の蛋白の発現が認められ、RCK 遺伝子の発癌への関与が示唆された。このようなことから、RCK遺伝子を細胞に高発現させることによりRCK遺伝子の発癌への関与を検討した。いろいろな細胞株に遺伝子導入した結果、モルモット胎児由来の細胞株104C1に高発現させることに成功した。しかしながら、我々が当初期待した結果とは異なり細胞増殖抑制作用、軟寒天培地におけるコロニー形成能の消失がRCK遺伝子導入細胞株で顕著にみられた。これらの所見からrck/p54が翻訳レベルで作用し、細胞の増殖に関与していると考えられる。