ABSTRACT 92(4-2)
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新規癌関連遺伝子の単離 -Differential display (DD)法の利用-:尾崎浩一,永田真粧美,原田陽介,鈴木幹生,中村祐輔,藤原力大塚製薬・大塚GEN研究所,東大・医科研・ヒトゲノムセンター)

Isolation and characterization of novel cancer-related genes by Differential display method; 1Kouichi OZAKI, 1Masami NAGATA, 1Yosuke HARADA, 1Mikio SUZUKI, 2Yusuke NAKAMURA, and 1Tsutomu FUJIWARA(1Otsuka GEN Res. Inst., Otsuka Pharmaceutical Co., Ltd., 2Lab. Mol. Med., Inst. Med. Sci., Univ. Tokyo)

癌の発生、進展は複雑な過程により成り立っており、多くの遺伝子の変化が関与していると考えられる。我々は、DD法により網羅的に臓器特異的遺伝子を単離した後、構造上の特徴、染色体局在の解析から癌関連候補遺伝子を決定し、癌との関連を精査している。このような手法により同定した膵臓特異的遺伝子パンクピンはセリンプロテアーゼインヒビターと30%の相同性を有していた。RT-PCR法により正常膵臓組織、膵癌組織におけるパンクピン mRNAの発現の差異を検討した結果、ほとんどの膵癌組織でパンクピン遺伝子の発現が著しく低下していた。さらに16例中2例の膵癌組織由来DNAにおいて、パンクピンの構造上に癌特異的な変異が認められ、この遺伝子の不活化が膵臓癌の発生、進展に関与することが強く示唆された。また、新規、正常肺特異的遺伝子TSC403は、癌の転移に関連することが知られる Lamp と相同性を示し、染色体局在はいくつかの癌で遺伝子増幅が報告されている 3q27 に同定された。数種類の正常および癌組織から抽出したRNAによるノーザン解析の結果、大腸癌、卵巣癌、肝臓癌等において、この遺伝子が癌特異的に発現してくることが認められ、癌化との関連が強く示唆された。