ABSTRACT 94(4-2)
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新しい癌関連遺伝子G-protein γ7の同定と接触阻止との関連:1柴田浩平,2田中真二,2白石 猛,2山下継史,1吉田隆典,1北野正剛,2森 正樹(1大分医大第一外科,2九大生医研外科)

Identification and cloning of human G-protein γ7, down-regulated in several cancers and associated with contact inhibition:1Kouhei SHIBATA, 2Shinji TANAKA,2Takeshi SHIRAISHI, 2Keishi YAMASHITA, 1Takanori YOSHIDA, 1Seigou KITANO and 2Masaki MORI (1Dep of Surg I ,OITA Univ., 2Dept. of Surg. Med.Inst. of Bioregulation, Kyushu Univ)

【目的】新しい癌関連遺伝子を同定しその機能を解析する【方法】(1)膵癌の正常部と癌部のRNAを用いてDifferential Display法を行い発現差のある新しい癌関連遺伝子を同定する(2) 発現差の再現性を確認すると同時に、臓器普遍性を確認する(3)癌細胞株に形質導入し、その変化について解析する【結果】(1) 新しい癌関連遺伝子として、膵癌部で正常部より発現が減弱している新しい癌関連遺伝子G-protein γ7を同定した(2)G-protein γ7は膵癌のみならず、食道癌、胃癌、大腸癌でも発現が減弱しており、正常粘膜では増殖能力を持つ基底部の粘膜細胞に発現を認めた(3) G-protein γ7を発現していない食道癌細胞株KYSE150に、γ7のopen reading frameを含んだ expression vectorをstable transfectionすると、γ7発現細胞株は非発現細胞株に比べ、confluent時の細胞数の減少、subconfluent時のH3取り込み率の減少、Nude miceの造腫瘍性の移植後早期の低下を認めた。増殖期から定常期まで経時的に細胞周期とp27蛋白の発現をみると、γ7発現細胞株は、徐々にG0/G1期の増加とS期細胞の減少を認め、この現象はp27蛋白の誘導によることがわかった。【結語】新しい癌関連遺伝子G-protein γ7, humanを同定した。種々の癌腫でその発現は抑制されており、形質導入の結果から癌細胞における接触阻止機能の喪失との関連が示唆された。