ABSTRACT 96(4-2)
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ヒト乳癌細胞株MCF-7で遺伝子増幅する新規遺伝子の同定:長崎光一,真鍋知宏,半澤浩明,山口 建(国立がんセ・研,細胞増殖因子)

Identification of a novel gene amplified in human breast cancer cell lines. : Koichi NAGASAKI, Tomohiro MANABE, Hiroaki HANZAWA, Ken YAMAGUCHI (Growth Factor Div., Natl. Cancer Ctr. Res. Inst.)

【目的】癌細胞で特異的に発現量の変化を示す遺伝子を検索する過程で、乳癌培養細胞株MCF-7においてRNA発現量が増加している遺伝子断片を単離した。今回この遺伝子を同定し遺伝子増幅の有無について検討した。
【方法】多数の癌培養細胞を対象としたRNA Differential Display(DD)法を行い、乳癌細胞で特異的に発現している遺伝子を検索した。DDで発現差異の見られたDNA断片についてサブクローニング後、Northern blot 法で差異を確認し、塩基配列を解析した。また、そのcDNA断片をプローブにし、cDNAクローニングを行い塩基配列を決定した。遺伝子増幅の有無はcDNAプローブを用いたSouthern blot法で行った。
【結果】DD法により、今回対象とした8株の癌培養細胞中で乳癌培養細胞株MCF-7で特異的に発現量が増加している約1.5kbのmRNAを認識するcDNA断片を単離した。cDNAクローニングにより225個のアミノ酸(約26kDa)からなる蛋白をコードする新規遺伝子であることが明らかとなった。また乳癌培養細胞株6株を用いたNorthern blot法で、MCF-7およびBT-20の2株でmRNAの発現の増加が確認された。さらにSouthern blot法の結果その2株において約5倍の遺伝子増幅が示唆された。
【結語】乳癌培養細胞株6株中2株でmRNA発現量の増加している新規遺伝子を同定した。この2株におけるmRNA発現量の変化は遺伝子の増幅が関与していると考えられた。