ABSTRACT 123(4-5)
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DNA複製制御因子ヒトMCM蛋白6量複合体とchromatinとの結合の調節におけるcdc2 kinaseの役割:藤田雅俊、鶴見達也(愛知がんセ・ウイルス)

A role for cdc2 kinase in regulation of the interaction between chromatin and human MCM heterohexameric complex, a regulator for DNA replication: Masatoshi FUJITA, Tatsuya TSURUMI (Lab. Viral Oncol., Aichi Cancer Center)

6種類からなるヒトMCM(hMCM)蛋白は、DNA複製を惹起した後クロマチンから遊離していくことにより、S期にDNAを一度だけ複製させる機構に寄与しているものと考えられている。その機能解析は、細胞増殖を理解するために重要であろう。我々も、hMCMの一員であるhMCM7が、DNA複製において重要な役割を演じていることを報告してきた。最近、我々はhMCMに関して以下のことを示唆する結果を得た。(1)6種のhMCMは細胞周期を通じて6量複合体として存在する (2)その一部がG1期にクロマチンと結合しており、これらはS期のDNA複製に伴ってクロマチンから遊離してゆく (3)6量複合体中のhMCM2および4は細胞周期とクロマチン結合状態に依存して複雑なリン酸化を受けている。これらのリン酸化なかで、G2/M期のhMCM2および4のhyperphosphorylationはcdc2 kinaseによるものであることが示唆された。さらに、cdc2温度感受性変異株FT210細胞を使用した実験から、cdc2 kinaseはMCM蛋白6量複合体とchromatinとの結合を負に調節していることが示唆された。すなわち、cdc2活性非存在下ではMCMはG2/M期においてもchromatinに結合したままであった。(cdc2に関する研究は愛知県がんセンター 稲垣昌樹先生、阪大 花岡文雄先生との共同研究)。以上のことは、hMCM蛋白6量複合体のDNA複製における調節的機能と細胞周期制御因子であるcdc2 kinaseとを関連づける重要な知見であると考えられる。