ABSTRACT 132(4-5)
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ヒト細胞におけるDNA障害後細胞周期G2期チェックポイントの解析:衣斐寛倫、河邊拓己、菅沼正司、岡本尚(名市大・分子医学研)

Analysis of the DNA damage checkpoint at G2/M transition of the cell cycle : Hiromichi EBI, Takumi KAWABE, Masashi SUGANUMA, Takashi OKAMOTO (Mol. Gen., Nagoya City Univ. Med. Sch.)

当初酵母・両生類を用いた研究が中心であった細胞周期G2期チェックポイントの解析は、最近、ヒトなど高等動物での理解が急速に進みつつある。我々は、DNA障害後G2期のみに停止するヒト細胞株を用い、その停止機構解析を試み、cdc2、cdc25C、wee1H、Rad9、chk1の解析をした。その結果、G2期停止した状態では、cdc2のチロシン15番が燐酸化されており、G2期停止シグナルは、cdc2まで来ていると考えられた。しかし、wee1HUは過燐酸化されており、これはwee1HUの活性低下を意味し、また、cdc25Cの燐酸化状態は、放射線照射前後で変化なく、これも、cdc2のチロシン15番が燐酸化されていることを支持しなかった。また、Rad9とchk1のmRNAレベルは、放射線照射前後で変化が見られなかった。つまり、G2期停止において、cdc2のチロシン15番の燐酸化はG2期チェックポイント機構における最終過程と考えられるが、この燐酸化に至る経路であるwee1HU、cdc25Cともにcdc2の燐酸化が増えていることを説明できないため、これら以外のシグナル伝達系の関与が予測され、今後さらに解析を進める予定である。