ABSTRACT 146(4-7)
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Bcl-2関連遺伝子EATの機能解析:化学療法剤によるアポトーシス誘発の抑制―トランスジェニックマウスを用いて―:鈴木 淳, 安藤 孝, 松下 健一, 下田 耕二, 佐野 誠, 大喜多 肇, 山田 健人, 梅沢 明弘, 秦 順一(慶大医, 病理, 実験動物センター)

The EAT gene, a bcl-2 related gene, prevents apoptosis induced by cis-platin in EAT transgenic mice: Atsushi SUZUKI, Takashi ANDO, Kenichi MATSUSHITA, Koji SHIMODA, Makoto SANO,Hajime OKITA, Taketo YAMADA, Akihiro UMEZAWA, Jun-ichi HATA (Dept. of Pathology, Keio Univ.)

[目的]Bcl-2関連遺伝子群はアポトーシスの制御に働く中心的な遺伝子である。本研究は、ヒト胎児性癌細胞・NCRG3から栄養膜細胞への分化過程において、早期に発現が誘導されるEAT遺伝子のアポトーシスに関与する機能解析を目的とした。[方法]In vitroの系としてEAT遺伝子を導入したマウス線維芽細胞10(1)細胞を用いてシスプラチン(CDDP)による細胞死を比較した。In vivoの系ではEATを導入したトランスジェニック(Tg)マウスを作製し、CDDP投与後の腎臓における急性尿細管壊死を光顕レベルで比較検討した。[結果及び考察]EAT遺伝子を導入した10(1)細胞では導入していない細胞に比べCDDP処理後の生存率が高かった。またTgマウスでは、CDDPによる急性尿細管壊死が認められなかった。以上の結果からEAT遺伝子はin vitroでCDDP誘発のアポトーシスを抑制することが明らかになった。さらにin vivoにおいてもCDDP誘発の尿細管上皮のアポトーシスを抑制したと考えられた。本研究の結果、EATの抗アポトーシス作用が示唆された。