ABSTRACT 149(4-7)
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Fas 及び TNF-α 誘導アポプトーシスにおけるhuman IAP ファミリーの機能解析:宮崎敏昭、田路真悟、玉井克之(医学生物学研究所・研究開発部)

Functional analysis of human IAP ( Inhibitor of Apoptosis Protein ) Families in Fas- or TNF-α-induced apoptosis : Toshiaki MIYAZAKI, Shingo TOJI, Katsuyuki TAMAI (R&D div. Medical & Biological Lab. Co., Ltd

種々のアポプトーシスにおいて、そのシグナルは Caspase ファミリーを介することが明かとされている。 Baculovirus IAP ( Inhibitor of Apoptosis Protein ) と相同性を持つ human IAPファミリー:XIAP ( X-linked Inhibitor of Apoptosis Protein ) , HIAP-1, -2 ( Human Inhibitor of Apoptosis Protein-1, -2 ) は直接 Caspase-3, -7のプロテアーゼ活性を阻害することが報告されている。 我々はhuman IAP ファミリーの機能を解析するため、恒常的に XIAP, HIAP-1 , -2 を高発現している細胞を作製することを試みたが、結果的にそのような細胞を作製することは不可能であった。 このことはhuman IAP ファミリーがアポプトーシスに抑制的に作用するだけでなく、細胞の生存に対して何らかの負の作用を持つ可能性を示している。さらにhuman IAP ファミリーのアデノウイルスベクターを用いた解析より、XIAP が Fas 及び TNF-αで誘導されるアポプトーシスを有意に抑制できること、それには C 末側の Ring Zing Finger motif を必要としないことが明らかになった。 また、HIAP-1 にもXIAP に比べて弱いながらアポプトーシスの抑制が認められた。 しかしながら、驚くべきことにHIAP-2 のアデノウイルスは培養細胞にアポプトーシスを非常に強く誘導した。 この HIAP-2 のアデノウイルスには1箇所変異が入っていることが明かとなったが、現在までのところ、選択的に増殖細胞にのみ細胞死を誘導することから、このウイルスを癌の遺伝子治療に応用できる可能性が示唆された。 また、Fas 及び TNF-α によって誘導されるアポプトーシスにおいて、XIAP が分解されることを見いだした。 この XIAP の分解は Caspase-3 の活性化直後から認められ、経時的に増大していった。 しかし、Caspase の活性化を伴わないUV照射によるアポプトーシス誘導においては XIAP の分解は認められなかった。