ABSTRACT 154(4-7)
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細胞質p21Cip1によるアポトーシス抑制のメカニズム:浅田 穣1,山田孝之1,一條秀憲2,水谷修紀11小児医療セ・ウイルス研,2東京医歯大・歯)

Mechanism of p21Cip1-mediated apoptosis inhibition : Minoru ASADA1, Takayuki YAMADA1, Hidenori ICHIJO2, Shuki MIZUTANI1 (1Dept.of Virology, National Childrens'Medical Research Center,2Faculty of Dentistry,Tokyo Medical & Dental Univ.)

【目的】細胞質p21Cip1発現細胞はアポトーシス抵抗性を獲得するが、そのアポトーシス抑制機構を解析した。
【結果】U937細胞において過酸化水素によりアポトーシスが起こる際のプロアポトーシスシグナルを解析したところ、SAPK/JNK、DEVD感受性Caspaseの活性上昇や、ミトコンドリアの膜電位低下を観察した。細胞質p21Cip1発現U937細胞は、これらのプロアポトーシスシグナルを全て抑制する。これらのシグナルの時間的変化、およびミトコンドリア膜電位低下阻止薬を用いて解析したところ、細胞質p21Cip1はSAPK/JNKの活性化を阻止することによりアポトーシスを抑制していると考えられた。そこでさらに上流の分子との相互作用を解析した結果、細胞質p21Cip1は、MAPKKKであるASK1と複合体を形成し、その活性化を抑制することが判明した。
【考案】p21Cip1はその細胞内局在により、異なった機能を発揮する。特に細胞質発現p21Cip1は、酸化的ストレスの際、アポトーシス特異的なMAPキナーゼカスケードの活性化を抑制することにより、アポトーシスを抑制することが示唆された。