ABSTRACT 156(4-7)
アクチン調節タンパク質ゲルソリンのセバリング活性抑制変異体による細胞増殖抑制:藤 田 寿 一, 葛 巻 暹(北大・医・癌研遺伝子制御)
Cell growth suppression by mutants that inhibit severing activity of an actin-regulatory protein, gelsolin.: Hisakazu FUJITA and Noboru KUZUMAKI (Div. of Gene Regulation, Cancer Inst., Hokkaido Univ. Sch. of Med.)
[目的]我々は先に、アクチン調節タンパク質ゲルソリンのセバリング活性におけるエフェクター・ドメイン(G1)を欠失したG2-6あるいはG2-3変異体が、野生型ゲルソリンやコフィリンによるアクチン脱重合活性をin vitroで抑制すること、また、これらの変異体を構成的に発現する細胞株が得られないことを報告した。今回、セバリング活性抑制変異体の細胞生物学的活性とその細胞内動態を調べるために、EGFPとの融合タンパク質としてCOS7細胞で一過性に発現させ、その効果を検討した。[方法]EGFP/G2-6、G2-3変異体、あるいはEGFP融合野生型ゲルソリンの発現ベクターをCOS7細胞に導入し、蛍光位相差顕微鏡により、経時的にEGFP融合タンパク質の発現と細胞形態を観察した。[結果]EGFP/G2-6、G2-3変異体は細胞質や一部、ストレス・ファイバーに沿った発現パターンを示した。また、時間経過と共に、蛍光を発する細胞数は増加せず、細胞質の縮小している細胞像が認められアポトーシス様の変化が観察された。一方、EGFP融合野生型ゲルソリンあるいはEGFP単独は、細胞質に均一に発現しており、蛍光の認められる細胞数は時間の経過と共に増加した。[結論]セバリング活性抑制変異体の発現は、COS7細胞内においてアクチン脱重合活性を抑制することで、細胞骨格再編成に影響を及ぼしアポトーシス様の変化を誘導する。