ABSTRACT 157(4-8)
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急性骨髄性白血病におけるFLT3遺伝子異常の生物学的意義:清井 仁1、唐渡雅行2、北村俊雄3、斎藤英彦1,2、直江知樹11名大・医・難治感染症、2名大・医・一内、3医科研・造血因子探索)

Internal tandem duplication of the FLT3 gene in acute myeloid leukemia: Hitoshi KIYOI1, Masayuki TOWATARI2, Toshio KITAMURA3, Hidehiko SAITO1,2, Tomoki NAOE1 (1Dept. of Infectious Diseases, 2First Dept. of Int. Med., Nagoya Univ. School of Med,. 3Dept. of Hematopoietic Growth Factors, Inst. of Medical Science, Univ. of Tokyo.)

〔目的〕急性骨髄性白血病に特異的に認められるFLT3遺伝子傍膜貫通部領域のtandem duplication(FLT3/ITD)は、臨床像での比較解析により、白血病の増殖促進に作用することが示唆されている。今回その生物学的機能を明らかにすべく下記の検討を行った。〔方法〕異なる4種類のFLT3/ITDと起源不明の36bpの塩基挿入を認めた1種類の計5種類の異常FLT3及び正常FLT3cDNA全長を導入したtransfectantを作製し、FLT3分子の活性化、シグナル伝達機構について解析した。〔結果と考察〕異常FLT3遺伝子導入細胞においては、FLT3分子の恒常的なTyrリン酸化と、dimerizationを認め、その重複部位によらないlength-mutationであると考えられた。正常FLT3におけるY588F変異体ではリガンド依存性のTyrリン酸化が抑制されたが、異常FLT3においては、この抑制を認めなかった。FDC-P1では異常FLT3導入細胞において、IL3非依存性の増殖を認めたが、Ba/F3細胞においては、低濃度のIL3で増殖を認めるものの、完全な IL3非依存性の増殖は認めなかった。両細胞ともに、Jak2/Stat5の恒常的活性化を認めたが、FDC-P1細胞においては、MAPKの活性化も認め、これは臨床検体においても同様であった。現在、更に詳細なシグナル伝達機構と両細胞の差違について検討中である。