ABSTRACT 161(4-8)
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小児Common ALL細胞におけるCD45の発現と腫瘍特性との関連についての検討 :田口智子,清河信敬,佐藤範英*,森鉄也,藤本純一郎(小児医療セ・病理,*がん研究振興財団リサーチレジデント)

An Analysis on the Biological Significance of CD45 Expression in Childhood Common Acute Lymphoblastic Leukemia:Tomoko TAGUCHI,Nobutaka KIYOKAWA,Norihide SATO,Tetsuya MORI,Junichiro FUJIMOTO(Dept.of Pathology,Natl.Child.Med.Res.Center)

CD45の発現に着目した場合、小児Common ALL(CALL)にはCD45陽性群と陰性群が存在し、前者は統計学的に有意に予後不良である。CD45が受容体型蛋白チロシン脱リン酸化酵素であることから、そのCALL細胞の増殖機構への機能的関与の可能性を推定し、小児CALL症例の白血病細胞における細胞内刺激伝達関連蛋白のチロシンリン酸化様式とCD45の発現との関連について、western blot法、免疫沈降法等による検討をおこなった。まず、CALL細胞におけるSrc型チロシンリン酸化酵素の発現様式は成熟B細胞とは異なっており、Lynの発現は認められず、替りにHckが発現していた。また、CD45陰性群ではHckを含む特定蛋白のチロシンリン酸化が亢進している可能性が明かとなった。さらに、細胞株を用いた検討結果と考えあわせると、CD45がpro-B細胞受容体と複合体を形成しており、Hckのチロシンリン酸化の調節を通じてCALL細胞の増殖刺激伝達に機能的に関与している可能性が推定される。