ABSTRACT 162(4-8)
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腫瘍細胞におけるWntシグナルの機能解析:八尾良司1、時永賢治1、阪埜浩司1、河口徳一2、野田哲生1,31癌研・研・細生、2病理、3東北大・医・分子遺伝)

Functional analysis of Wnt signaling in tumor cells:1Ryoji YAO, 1KKenji TOKINAGA, 1Kouji BANNO, 2Tokuichi KAWAGUCHI, 1,3Tetsuo NODA (1Dept. Cell Biol., 2Dept. Path., Cancer Inst., 3Dept. Mol.Genet., Tohoku Univ. Sch. Med., )

【目的】Wntタンパク質は、種を越えて良く保存された遺伝子ファミリーを形成し、マウスにおいてはWnt-1が乳癌発生に関与することが示されている。また、β-cateninはWntによる情報伝達経路を構成する重要な分子である。癌抑制遺伝子であるAPCは、β-cateninの安定性を制御していることが知られており、さらに大腸癌やメラノーマにおいては、β-cateninの活性型変異が見つかっている。本研究は、Wntシグナルおよびβ-cateninの腫瘍細胞における機能の解明を目的とする。
【方法および結果】Wntタンパク質の受容体である各種frizzled分子のマウスにおける発現を調べたところ、frizzled 5が消化管に強い発現を示し、他の臓器では顕著な発現を認めなかった。一方、APCに変異をもつ大腸癌細胞を含む各種癌細胞において、β-cateninにより活性化するTcf/Lef転写因子の活性を調べたところ、大腸癌細胞でのみ強い内在性の転写活性を認めた。さらに、内在性の転写活性を認めなかった細胞にβ-cateninを導入したところ、1種の細胞株で著しい転写活性の増加を示した。これらの癌細胞を用いて、frizzled5によるβ-cateninの安定性制御およびTcf/Lefによる転写活性制御を検討し、報告する。