ABSTRACT 165(4-8)
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アクチビンによる細胞増殖抑制とアポトーシスにおけるアクチビン反応性遺伝子Smad7の役割: 石崎明1,大和建嗣2,Peter ten Dijke3,西原達次11国立感染研・口腔科学,2東京医歯科大・歯・細菌,3ルートヴィック癌研・ウプサラ支部)

Smad7 is an activin-inducible inhibitor of activin-induced growth arrest and apoptosis: Akira ISHISAKI1, Kenji YAMATO2, Peter TEN DIJKE3, Tatsuji NISHIHARA1 (1Dept. of Oral Sci., Natl. Inst. of Infect. Diseases, 2Dept. of Microbiol., Tokyo Med. Dent. Univ., Sch. of Dent., 3Ludwig Instit. for Cancer Res.)

TGF-βファミリーに属するサイトカインは,それぞれのリガンド特異的I型レセプターを活性化し,さらにI型レセプター特異的Smad蛋白質(Smad1,Smad2,Smad3,Smad5)をリン酸化することによって,細胞内シグナル伝達を行う。最近,これらのシグナル伝達の抑制因子としてSmad6やSmad7が報告されている。
我々は,TGF-βファミリーに属するアクチビンの細胞増殖抑制とアポトーシス誘導機構をマウスB細胞株(HS-72)を用いて解析し,アクチビンはp21/CIP1/WAF1の発現誘導と,それに伴うCyclin D-CDK4による網膜芽細胞腫蛋白質(Rb)のリン酸化抑制により,細胞周期G1期停止を引き起こすこと,さらにG1期停止後,アクチビンは,Bcl-2発現により抑制されるアポトーシスを誘導することを報告した。今回我々は,HS-72細胞においてアクチビンがSmad7 mRNA発現を誘導することを見出した。さらに,Smad7発現プラスミド導入HS-72細胞において,アクチビンによるp21/CIP1/WAF1発現誘導とRb低リン酸化がみられず,G1期停止も起こらないこと,また,アクチビンによるアポトーシスも完全に抑制されることを明らかにした。以上より,Smad7は,アクチビン反応性遺伝子であり,アクチビンによる細胞周期停止とアポトーシスの負のフィードバックに関与することが示唆された。現在, アクチビンのG1期停止およびアポトーシスを誘導するシグナルが, どの Smad 蛋白質によって媒介されているのかについて検索中である。