ABSTRACT 168(4-8)
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ROCK阻害薬Y-27632を用いたROCKの細胞内機能の同定:石崎敏理1、上畑雅義2、廣瀬雅哉1、野々村喜美子1、前川みどり1、成宮周11京大・医・薬理、吉富製薬・東京研究所)

Identification of ROCK function in the cells using ROCK inhibitor, Y-27632 : Toshimasa ISHIZAKI1, Masayoshi UEHATA2, Masaya HIROSE1, Kimiko NONOMURA1, Midori MAEKAWA1, Shuh NARUMIYA1 (1 Dept. of Pharm. Kyoto Univ. Fac. of Med., 2 Yoshitomi Pharmacutical Tokyo Insutitute)
 
 Rho associated coiled-coil forming protein kinase (p160ROCK)、は低分子量GTP結合蛋白質Rhoの活性型に特異的に結合し、その結合により活性化されるセリン/スレオニンキナーゼである。これまで、ROCKは繊維芽細胞や上皮細胞においてアクチンストレスファイバーや細胞接着斑の形成、ガン細胞の浸潤転移に関与していることが明らかにされている。昨年、我々は本学会において、ROCKを特異的に阻害する新規化合物Y-27632を開発し、この薬物がRhoやROCKにより誘導されるアクチンストレスファイバーや細胞接着斑の形成を阻害することを報告した。
 今回我々は、生化学的また細胞生物学的観点でこの薬物のcharacterizationを行った。特異性を検討するため、Y-27632の様々なキナーゼに対するKi値を調べたところ、Y-27632とp160ROCKの親和性はPKAやPKCに比べて200倍、またmyosin light chain kinaseに比べて約2,000倍高いことが判明した。次に、細胞形態に対する影響について検討すると、Y-27632は濃度依存的にアクチンストレスファイバーや細胞接着斑形成を阻害し、この阻害は処理後10分から認められ、30分でピークに達した。
 一方、Rhoの関与が報告されている細胞質分裂や細胞増殖においてはY-27632はほとんど影響を認めなかった。