ABSTRACT 181(4-10)
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hMSH6遺伝子の生殖細胞変異を持つ遺伝性非腺腫性大腸癌(HNPCC)家系と患者の腫瘍における遺伝子変化:小西元子1, 安野正道2, 森武生2, 小池盛雄3, 設楽信行4, 飯島武1,5, 黒木登志夫5, 宮木美知子1,5 (1都立駒込病・遺伝性腫瘍, 2外, 3病理, 4脳外, 5昭和大・腫瘍分子研)

hMSH6 germline mutation and genetic changes of tumors in a Japanese HNPCC family: Motoko KONISHI1, Masamichi YASUNO2, Takeo MORI2, Morio KOIKE3, Nobuyuki SHITARA4, Takeru IIJIMA1,5, Toshio KUROKI5, Michiko MIYAKI1,5 (1Heredit. Tumor Project, 2Dept. Surg., 3Dept. Pathol., 4Dept. Neurosurg., Tokyo Metrop. Komagome Hosp., 5Inst. Mol. Oncology, Showa Univ.)

hMSH2とhMLH1遺伝子の生殖細胞変異を持つHNPCC家系はこれまでに世界で約200家系が知られ、hPMS1とhPMS2については数家系が知られている。今回新たに、hMSH6遺伝子の生殖細胞突然変異を持つHNPCC家系を見い出した。この家系では、上記4種のミスマッチ修復遺伝子変異を持つ家系に比べてやや高年齢で卵巣癌、子宮癌、大腸癌が発生する傾向が見られた。患者に発生した子宮体癌と大腸癌にはhMSH6遺伝子の生殖細胞変異と体細胞変異が共に検出され、DNA不安定性(RER)が認められた。大腸癌にはAPC、p53遺伝子変異は検出されず、TGFβRII遺伝子(A)10、BAX遺伝子(G)8、K-ras遺伝子の突然変異が検出された。RERとTGFβRII(A)10の異常は、2mm大の表面型過形成性ポリープにも認められ、これらの異常がHNPCC患者の癌化の極めて早期に起こる可能性が示唆された。