ABSTRACT 183(4-10)
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ポイツ・イエーガー症候群(Peutz-Jeghers Syndrome)原因遺伝子がコードする新規セリン/スレオニンキナーゼLKB1についての解析:根津淳一,奥飛鳥,嶋根みゆき,野村仁(中外分子医学研究所)

Characterization of a novel Ser/Thr kinase LKB1 encoded by a susceptibility gene for Peutz-Jeghers Syndrome : Jun-ichi NEZU, Asuka OKU, Miyuki SHIMANE, Hitoshi NOMURA (Chugai Res. Inst. for Molecular Medicine, Inc..)

ポイツ・イエーガー症候群(Peutz-Jeghers Syndrome; PJS)は、消化管ポリポーシスと、粘膜、皮膚の色素班形成を主な症候とする遺伝性疾患である。またPJS患者は様々な癌に対する発症リスクが健常人に比較し著しく高いことから、本症の原因遺伝子は癌抑制遺伝子様の機能を持つことが推測されている。我々は、新規タンパク質キナーゼ探索の過程で同定した新規セリン/スレオニンキナーゼLKB1をコードする遺伝子がPJS原因遺伝子の推定候補領域(19p13.3)に存在することを見いだし、PJS患者におけるこの遺伝子の変異を検索した結果、高頻度で変異が存在することを発見した。これらの変異を人為的に導入したLKB1タンパクにおけるキナーゼ活性を調べたところ、全ての変異体において活性が消失していることが明らかとなり、PJSはLKB1キナーゼの機能損失が原因となり発症する可能性が示唆された。ノーザン解析からは、調べた全ての臓器においてユビキタスにLKB1遺伝子が発現していることが示された。現在、LKB1タンパクに対する抗体を用いて組織における詳細な局在を検討しており、その結果についても報告したい。