ABSTRACT 187(4-10)
ヒトN-methylpurine DNA glycosylaseの基質特異性:朝枝あゆみ1、井出博2、田野恵三3、續輝久1、高森康彦4、久保喜平4(1九大・医・放基、2広大・理・遺伝子、3京大・原子炉、4大阪府立大・農・獣医・放)
Substrate specificity of human N-methylpurine DNA glycosylase: Ayumi ASAEDA1, Hiroshi IDE2, Keizo TANO3, Teruhisa TSUZUKI1, Yasuhiko TAKAMORI4, Kihei KOBO4 (1Dept. Med. Biophys. & Radiat. Biol., Fac. Med., Kyushu Univ., 2Dept. Gene Sci., Fac. Sci., Hiroshima Univ., 3Res. React. Inst., Kyoto Univ., 4Dept. Vet. Radiol., Fac. Agric., Osaka Pref. Univ.)
DNA中の損傷塩基のほとんどが、それぞれに特異的なDNA glycosylaseにより除去され、脱塩基部位(AP site)を経て塩基除去修復される。ヒトN-methylpurine DNA glycosylase (hMPG)は、メチルプリン(3-メチルアデニン: 3-mA、7-メチルグアニン: 7-mG)、ヒポキサンチン(Hx)、エテノアデニン(εA)さらに8-オキソグアニン(8-oxoG)などの広範な基質を認識することが報告されているが、全ての基質に対する活性を同時に比較した研究はない。我々は、hMPGの生体内での役割を明らかにするために、AP siteのアルデヒド基に特異的な化学プロ−ブ (Akdehyde Reactibve Probe: ARP) およびオリゴヌクレオチドを利用してhMPG活性を測定し、その基質特異性を比較検討した。ARPによる定量の結果では、hMPGはメチルプリンに対してHxやεAに比べて高い活性を示した。また、初めて合成した7-mGを含むオリゴヌクレオチドを用いた実験により、hMPGによる7-mGの除去効率がHxやεAに比べて低いことが明らかとなった。8-oxoGに対するhMPG活性は用いた条件下では検出されなかった。以上の結果より、hMPGは3-mG、εA、Hx、7-mGの順に高い活性を示し、損傷の細胞毒(致死)性・突然変異原性・発生頻度等に大きく影響される可能性が示唆された。