ABSTRACT 188(4-10)
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DNA修復酵素遺伝子hOGG1の多型・変異と発がんとの関連性:新村和也1,4,河野隆志1,葛西 宏2,金 秀良3,能美健彦3,椙村春彦4,横田 淳1(1国立がんセ・研・生物,2産業医大・産業生態研・職業性腫瘍,3国立衛研・変異遺伝,4浜松医大・一病理)

Involvement of genetic polymorphisms and mutations of the hOGG1 gene in human carcinogenesis:Kazuya SHINMURA1,4,Takashi KOHNO1,Hiroshi KASAI2,Su-Ryang KIM3,Takehiko NOHMI3,Haruhiko SUGIMURA4,Jun YOKOTA1 (1 Biol. Div., Natl. Cancer Center Res. Inst.,2Dept. Environ. Oncol., Inst. Indust. Ecolog. Sci., U. Occup. Environ. Hlth.,3Div. Genet. & Mutagen., Natl. Inst. Hlth. Sci.,41st Dept. Pathol. Hamamatsu Univ. Sch. Med.)

8-ヒドロキシグアニン(8-OH-G)は突然変異原性を有する酸化的損傷塩基である。昨年我々は、 hOGG1遺伝子産物がこの8-OH-GをDNA中から除去するヒト酵素であることを報告した。今回は hOGG1遺伝子のゲノム構造を明らかにし、がん化への関与を特に肺がん・胃がん患者の検体を用いて検討した。 hOGG1遺伝子には少なくとも5種類の遺伝子多型が検出され、そのうちの一つはアミノ酸変化(Ser326/ Cys326)を伴うものであった。変異に関しては肺がん・胃がんとも腫瘍細胞には認められなかったが、各細胞株H526およびMKN1でミスセンス変異(Arg46-> Gln46, Arg154-> His154)が認められた。これらの遺伝子産物の修復能を比較すると、hOGG1-Cys326や-Gln46では-Ser326と比べ突然変異抑制能が低かった。少検体数での健常人と比較したアレル比は有為な差には至らなかったものの、-Ser326アレルの低下ががん患者群に認められた。以上よりhOGG1遺伝子のがん細胞における変異の頻度は低いが、多型と発がんに関しては更なる検討が必要であると考えられた。