ABSTRACT 192(4-10)
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毛細血管拡張性運動失調症 Ataxia Telangiectasia(AT)における細胞周期、アポトーシス誘導機構の解析:高木正稔1.2,重田輝子1,岩田敏1,浅田穣1,水谷修紀1(1小児医療セ・ウイルス,2順天堂大・小児)

Apoptosis regulation and cell cycle check point in Ataxia Telangiectasia (AT):Masatoshi TAKAGI 1.2,Teruko SHIGETA 1,Satoshi IWATA 1,Minoru ASADA 1,Shuki MIZUTANI1 (1 Dept. of Virol., Natl. Children's Med. Res. Ctr.,2 Dept. of Pediatr. Juntendo Univ. School of Med.)

(目的)ATは毛細血管拡張、小脳性運動失調、免疫不全を主徴とする常染色体劣性の遺伝性疾患であり、悪性腫瘍を高頻度に合併する。ATにおける高発癌性のメカニズムについて検討するため細胞生物学的な解析をした。
(対象)健常人、ATを発症したatm遺伝子のホモ変異をもつ人よりEBVを用いて樹立したリンパ細胞株を用いた。
(方法)細胞周期調節機構をFACSおよびwestern blot法を用いて検討した。アポトーシス誘導機構をFACS、western blot法及びin vitro kinase assayを用いて検討した。放射線感受性はclonogenic assayにより検討した。
(成績)ATではATM蛋白の発現は認められなかった。細胞周期調節機構はG1/S期及びmitotic/spindle check pointで障害されていた。この細胞周期調節機構の障害はp53、p21Cip1/WAF1活性化の障害を伴っていた。放射線照射、 H2O2やC2-ceramideによるアポトーシス誘導能が障害されおり、ミトコンドリア膜電位低下障害、p53、SAPK/JNK 、caspaseや活性酸素の活性化障害を伴っていた。しかし放射線に高感受性を示し、低いclonogenic cell survivalを示した。
(結論)ATは急性のinter phase cell death(apoptosis)には抵抗性を示したが、late onsetにmitotic cell deathと考られる細胞死をとり、このことが放射線高感受性を反映すると考えられた。