ABSTRACT 207(5-2)
 一般演題一覧 トップ 


RalBP1結合蛋白質POB1のEHドメインとEps15rやMP90との複合体の形成:中島真太郎1、池田昌博1、森中賢二1、岸田昭世1、小山眞也1、大川克也2、岩松明彦2、菊池章11広島大・医・生化, 2キリンビール基盤研)

Complex formation of the EH domain of POB1, a binding protein of RalBP1, with Eps15r and MP90. : Shintaro NAKASHIMA1, Masahiro IKEDA1, Kenji MORINAKA1, Shosei KISHIDA1, Shinya KOYAMA1, Katsuya OHKAWA2, Akihiko IWAMATSU2, Akira KIKUCHI1 (1Dept. of Biochemistry, Hiroshima Univ. Sch. of Med., 2Cent. Labs. for Key Tech. Kirin)

Rasの下流には、RalGDS-Ral-RalBP1というシグナル伝達系が存在することが明らかになりつつある。このシグナル伝達経路の生理的役割を解明するため、私共はRalBP1と結合する蛋白質を同定し、POB1 (Partner of RalBP1) と命名した。POB1の中央部には、Eps15のN末端側と相同なEH(Eps15 Homology)ドメインと呼ばれる構造が認められた。Eps15は形質膜局在型アダプター複合体AP-2と結合し、クラスリンを介するEGFレセプターのエンドサイトーシスを制御していることが知られている。しかしPOB1の機能は不明であり、POB1のEHドメインと結合する蛋白質を同定することは、EHドメインの生理的役割の解明に重要であると考えられる。今回、私共はウシ大脳膜画分からaffinity purificationにより、POB1のEHドメインに結合する130kDaと84kDaの2種類の蛋白質を精製した。解析の結果、前者はマウスのEps15類似蛋白質(Eps15r)、後者はアフリカツメガエルのMP90のホモログであった。そこで、ヒト大脳cDNA ライブラリーから各々のホモログをコードする全長のcDNAを単離して、COS細胞で共発現したところEps15rとMP90は結合した。したがって、POB1はMP90、Eps15rと複合体を形成することによりエンドサイトーシスの制御に関与する可能性が高い。Ralが形質膜と分泌小胞に局在することとあわせて、RalGDSを介するシグナル伝達系とEps15r、MP90の分泌小胞輸送における役割を現在解析中である。