ABSTRACT 209(5-2)
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低分子量 G 蛋白質 M-Ras によるアクチン細胞骨格の再構成と神経細胞分化の制御:松本 健,遠藤 剛 (千葉大・理・生物)

Small GTPase M-Ras participates in reorganization of actin cytoskeleton and neuronal differentiation: Ken MATSUMOTO, Takeshi ENDO (Dept. of Biol., Fac. of Sci., Chiba Univ.)

我々は Ras ファミリーに属する新規の低分子量 G 蛋白質を同定し M-Ras と名付けた.M-Ras の細胞機能を調べるために活性型変異体を作製し,Swiss 3T3 細胞に組換え蛋白質のマイクロイン ジェクションを行った.その結果マイクロスパイクの形成アクチン束の消失および多数のアクチン斑の形成が引き起こされた.また M-Ras cDNA をトランスフェクトした細胞は樹枝状の形態変化が引き起こされた.したがって M-Ras はアクチン細胞骨格の再構成をもたらすことが示された.さらに M-Ras を PC12 細胞にトランスフェクションにより導入すると,H-Ras と同様に神経細胞分化が誘導された.そこで M-Ras と H-Ras の不活性型変異体を発現させた PC12 細胞に NGF や TPA/bd cAMP を作用させることにより神経細胞分化の誘導をみた.さらに MAPKK 阻害剤 PD098059 を加えることにより,MAPK カスケードへの関与をみた.その結果 H-Ras は NGF 刺激による MAPK カスケードを介した分化の経路に,一方 M-Ras は TPA/bd cAMP による分化の経路に関与していることが示された.