ABSTRACT 212(5-2)
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プロテインホスファターゼ2CによるMAPキナーゼ機能の調節:花田雅人、小林孝安、大西素子、田村眞理(東北大・加齢研・遺伝子情報)

Regulation of MAP kinase pathway by protein phosphatase 2C:Masahito HANADA, Takayasu KOBAYASHI, Motoko OHNISHI, Shinri TAMURA
(Department of Biochemistry, Institute of Development,Aging and Cancer, Tohoku University)

MAPキナーゼ経路は、細胞外刺激により細胞内にもたらされた情報を核に伝達するシステムとして真核生物において重要な役割を果たしている。これまでに酵母を用いた解析により、プロテインホスファターゼ2C(PP2C)がストレス感受性MAPキナーゼ経路を負に制御することが明らかになっている。今回我々は哺乳動物細胞におけるPP2CのMAPキナーゼ機能に与える影響を検討するため、COS細胞での一過性cDNA発現系を用い解析を行った。その結果、PP2Cの高発現によりストレス感受性MAPキナーゼのひとつであるp38のリン酸化および活性の低下が観察された。PP2Cの作用点について検討するため、p38の上流の調節因子であるMKK3やMKK6をPP2Cとともに共発現させたところ、MKKおよびMKK6のリン酸化レベルの低下が見られた。また、変異型PP2Cを用いた解析により、PP2Cがその脱リン酸化能に依存してMKK3やMKK6のリン酸化レベルを低下させることが判明した。以上の結果よりPP2CがMKK3、MKK6かそれより上流の経路に対して、脱リン酸化を介して負の制御を行っていることが示唆された。