ABSTRACT 215(5-2)
TGFβシグナル伝達に関わるSmad 2, 3, 4, 6, 7 遺伝子の大腸癌における変異と欠失:飯島武1,6, 小西元子1, 森武生2, 小池盛雄3, 設楽信行4, 岩間毅夫5, 黒木登志夫6, 宮木美知子1,6 (1都立駒込病・遺伝性腫瘍, 2外, 3病理, 4脳外, 5杏雲堂病・外, 6昭和大・腫瘍分子研)
Mutations and LOH of TGFβ signaling genes Smad 2, 3, 4, 6 and 7 in colorectal cancer : Takeru IIJIMA1,6, Motoko KONISHI1, Takeo MORI2, Morio KOIKE3, Nobuyuki SHITARA4, Takeo IWAMA5, Toshio KUROKI6, Michiko MIYAKI1,6 (1Heredit. Tumor Project, 2Dept. Surg., 3Dept. Pathol., 4Dept. Neurosurg., Tokyo Metrop. Komagome Hosp., 5Dept. Surg., Kyoundo Hosp., 6Inst. Mol. Oncology, Showa Univ.)
大腸癌の進展に伴い染色体18qのLOHが認められることを既に報告した。18qに存在する癌抑制遺伝子 Smad4とSmad2の関与を明らかにするため、腺腫と癌を含む大腸腫瘍180検体について突然変異を解析した。また、TGFβシグナル伝達に関わる他の遺伝子Smad3, Smad 6, Smad7についても検討した。20検体にSmad4遺伝子の突然変異とLOHが検出された。フレームシフトとナンセンス変異が55%、ミスセンス変異が45%で、ホモオリゴマーおよびヘテロオリゴマー形成に影響を及ぼす変異が多く見られた。Smad4遺伝子変異の頻度は、腺腫や早期癌では低く、転移性癌で高い傾向が認められた。一方、Smad2、Smad3、Smad6、Smad7の変異は低頻度であった。以上の結果から、大腸癌の進展・転移にSmad4遺伝子の突然変異とLOHによる不活性化が関与することが強く示唆された。