ABSTRACT 230(5-4)
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サイクリンD1遺伝子5'側上流領域のCpG islandメチル化部位の特定とin vivoにおける脱メチル化の解析:北澤荘平、北澤理子、玉田 博、前田 盛(神戸大・医学部・第2病理)

Determination of the methylation sites and thier in vivo demethylation of CpG island located 5'-flanking region of cyclin D1 gene: Sohei KITAZAWA, Riko KITAZAWA, Hiroshi TAMADA and Sakan MAEDA (2nd Dept. of Pathol., Kobe Univ., School of Medicine)

[目的]サイクリンD1は、細胞周期G1-S期の調節を行い、多くの癌細胞において癌遺伝子活性化・癌抑制遺伝子不活化により発現亢進する。私どもは、ラットサイクリンD1遺伝子プロモーター領域をクローニング・解析し、その発現調節にシトシンメチル化が重要であることを報告してきた。今回、プロモーター領域内のどのシトシン残基のメチル化・脱メチル化がSteady-StateにおけるラットサイクリンD1遺伝子発現調節に関与するのかを検討し報告する。
[材料と方法]サイクリンD1遺伝子高発現系細胞(K4DT)と低発現系細胞(K4D)よりGenomic DNAを抽出し、Sodium Bisulfite処理により、非メチル化シトシンをウラシルに変換後、サイクリンD1遺伝子プロモータ領域内に設定したプライマーを用いたPCR法にて増幅した。変換後のDNA塩基配列解析により、メチル化シトシン部位を決定した。また、K4D細胞株をラットに移植し、2週間後に腫瘤を摘出しホルマリン固定パラフィン標本を作製した。病理組織学的に腫瘍中心部と周辺組織への浸潤性発育を示す部分とに分けて、パラフィン切片から組織片を削り、各々別個にアガロースビーズ内に封入し、Proteinase K処理、Sodium Bisulfite処理を行いサイクリンD1遺伝子プロモーター領域のメチル化の状態を検討した。
[結果と考察]サイクリンD1遺伝子プロモーター領域に存在する2個のSp1領域の内のCpGにメチル化が起こるとサイクリンD1遺伝子のSteady-Stateにおける発現が著しく低下することが示された。また、ラット移植組織で浸潤性発育を示す細胞群に同部位の脱メチル化が証明された。腫瘍の進展過程において、細胞周期制御遺伝子のプロモータ領域の脱メチル化が関与していることが示された。