ABSTRACT 231(5-4)
CDK inhibitor p57KIP2はPCNAの阻害を介してトランスフォーメーションを抑制する: 渡部裕之1, 2, 3,Yue XIONG1,五味邦英2,黒木登志夫3(1ノースカロライナ大,昭和大・2臨床病理,3腫瘍分子生物)
Suppression of cell transformation by the CDK inhibitor p57 KIP2 requires binding to PCNA : Hiroyuki WATANABE1, 2, 3, Yue XIONG1 , Kunihide GOMI2, Toshio KUROKI3 (1 Dept. of Biochem. and Biophysics, The Univ. of North Carolina at Chapel Hill, 2Dept. of Clin. Path., 3Inst. of Mol. Onc., Showa Univ.)
CDK inhibitor / p21ファミリー(p21, p27Kip1, p57Kip2)はN末端に相同なサイクリン/CDK結合ドメインを介して細胞周期を負に制御する。またp21はC末端のPCNA結合活性を介して、DNA複製を阻害する。p57は遺伝性腫瘍Beckwith-Wiedemann Syndromeとの関連が指摘されており、p57のC末端を欠失する遺伝子異常症例が報告されている。われわれはp57のC末端にp21と相同なPCNA結合ドメインを同定し、その結合特異性をp57, p21のアミノ酸置換および競合ペプチドを用いて解析した。p57のPCNA結合ドメインはPCNAに依存してin vitroのDNA複製を阻害し、培養細胞においてG1/S期の移行を阻害する。p57はmyc/rasによるrat embryo fibroblasts (REF)のトランスフォーメーションを抑制し、その作用にはサイクリン/CDKおよびPCNA結合活性を要する。以上のことから、p57はサイクリン/CDKおよびPCNA結合を介して細胞増殖、トランスフォーメーションを抑制し、その欠損が癌化に関与していることが示唆された。