ABSTRACT 235(5-4)
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哺乳類Polycombグループ遺伝子mel-18による細胞周期調節機構および個体レベルでの発がん:菅野雅元1、井上洋子1、神安雅哉1、横崎 宏2、田原榮一2、谷口 克31広島大・医・免疫・寄生虫、2病理、3千葉大・医・免疫)

Analysis of cell cycle control by mammalian Polycomb-group gene, mel-18, and oncogenesis in vivo.: Masamoto KANNO1, Hiroko INOUE1, Masaya KAMIYASU1, Hiroshi YOKOZAKI2, Eiichi TAHARA2, and Masaru TANIGUCHI3 (1Dept. of Imunology and Parasitology, 2Pathology, Schl. of Med. Hiroshima Univ., 3Dept. of Immunology,Schl. of Med. Chiba Univ. )

[目的]我々はこれまで哺乳類のPolycombグループ(PcG)遺伝子であるmel-18 が、癌抑制遺伝子として機能することを報告してきた。その細胞増殖調節機構を解明する目的で、mel-18の遺伝子導入マウスおよびKOマウスを用い検討した。さらにmel-18+/-のマウスを長期観察していたところ、腫瘍が確認されたので報告する。
[方法および結果]mel-18の過剰発現により、Rbのリン酸化の抑制、CDKsキナーゼ活性の低下、G1サイクリン, CDKの発現量の低下、およびp21Cip1の蛋白質量の上昇が見られた。逆に、mel-18 のKOマウスの解析から、CDC/CDKキナーゼ活性の上昇が認められた。一方Rbファミリー遺伝子群全体の発現低下が観察された。mel-18+/-のマウスを長期観察していたところ、多発性腫瘍が確認された。
[考察]mel-18は、cーmyc、サイクリン/CDK/CDKI、Rbファミリーなどの発現量の制御を介して細胞周期を負に制御することで、がん抑制遺伝子として作用していると考えられる。今回個体レベルで腫瘍が確認されたことは、この考えを強くサポートするものである。