ABSTRACT 238(5-4)
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Rbトランスジェニックマウスはアポトーシス抵抗性および化学発癌抵抗性を示す:三浦直行、市原利晃、宮崎純一、杉山俊博秋田大医・生化1、 阪大医・栄養)

Resistance to apoptosis and chemical carcinogenesis conferred by Rb overexpression in the liver of the transgenic mice: Naoyuki MIURA1,Toshiaki ICHIHARA1, Jun-ichi MIYAZAKI2 and Toshihiro SUGIYAMA1 (1Dept. of Biochem., Akita Univ. Sch. of Med., 2Dept. of Nutr., Osaka Univ. Med. Sch.)

【目的】癌抑制性遺伝子産物のRb蛋白は細胞増殖抑制的に働く。また、Rbノックアウトマウスでは胎生期12日目以降に致死になり、脳組織などで細胞のアポトーシスが起こっている。これらの事実から、Rb蛋白は細胞周期の調節に関わるだけでなく、抗アポトーシスの役割も担っていることが示唆される。そこで、Rbトランスジェニックマウスを作製し、個体におけるRb蛋白の役割を検討する。【方法】ヒトRb cDNAを肝臓、腎臓、小腸で発現しているラットHNF1プロモーター(9kbp)に連結したコンストラクトを作製し、これを受精卵に微小注射してトランスジェニックマウスを2系統得た。【結果】トランスジーンコピー数の多いA系統、コピー数の少ないB系統の2系統に対して、肝細胞にアポトーシスを誘導することが知られている抗Fas抗体およびTNFαを投与したところ、コントロールマウスでは肝細胞変性や出血を認めたが、トランスジェニックマウスA系統では変性や出血は起こらず、B系統では軽度の肝細胞変性のみを認めた。血清GOT、GPT値もコントロールでは高値を、A系統では低値を、B系統では中間値を示した。また、化学発癌誘導に対しても、コントロールでは癌、結節病変が認められたに対して、トランスジェニックマウスでは癌は出現せず、結節病変数は有意に減少した。【結論】Rb蛋白は生体において細胞増殖抑制およびアポトーシス抑制に働いていることが示唆された。