ABSTRACT 253(5-6)
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AML1 遺伝子機能解析のためのin vitro システム構築の試み:奥田 司, 阿部達生(京都府立医大・医・衛生)

An in vitro System for Analyzing AML1 Function in Hematopoietic Regulation: Tsukasa OKUDA, Tatsuo ABE (Dept. Hygiene, Kyoto Prefectural Univ. of Medicine)

急性骨髄性白血病に合併する8;21転座の切断点からクローニングされたAML1遺伝子は、成体型造血の発生において必須の働きを担う転写関連因子をコードする。我々は、AML1による造血発生制御の分子メカニズムの解明に向けたアプローチのひとつとして、マウス胚性幹(ES)細胞のin vitroでの造血分化システムをその機能解析へ応用することを試みた。まず、ES細胞をin vitroで胚様体へと分化させることによって、マウスの個体発生と同様の時間経過をもって造血系前駆細胞の動態を検討しうる実験系を構築した。次に、ここで、両アレルのAML1遺伝子を失活させたES細胞を用いると、胚型赤血球前駆細胞が胚様体の中に形成されてくるが、成体型造血の前駆細胞は出現しないことを明らかにした。すなわちこの系を用いることによって、既報のAML1欠損マウスの表現型をin vitroで再現することができる。現在、これらのES細胞クローンを用いて、AML1遺伝子を再導入することによって造血系への分化能を再獲得させる実験系の構築を試みている。また、この系はAML1によって転写調節をうける遺伝子(群)のスクリーニングの出発材料としても役立つものと期待される。