ABSTRACT 254(5-6)
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AML1およびAML1-MTG8によるヒストンアセチル化を介した細胞分化の制御と白血病:北林一生,横山明彦,清水喜美子,諸星文子,大木操(国立がんセ・研・放射線研究部)

Role of histone acetylation in AML1- and AML1-MTG8-regulated cell differentiation and leukemogenesis: Issay KITABAYASHI, Akihiko YOKOYAMA, Kimiko SHIMIZU, Fumiko MOROHOSHI and Ohki MISAO (Radiobiol. Div., Natl. Cancer Ctr. Res. Inst.)

転写因子AML1は、ヒト白血病において最も高頻度に染色体転座の標的となり、t(8;21)転座型急性骨髄性白血病においてはAML1遺伝子はMTG8遺伝子と融合してAML1-MTG8融合タンパク質が発現する。マウス骨髄性細胞株L-GにAML1-MTG8を強制発現させるとG-CSF依存した成熟好中球への分化が阻害され、この分化阻害はAML1の過剰発現により解除される。AML1-MTG8はAML1による転写活性化を抑制することから、AML1-MTG8はAML1の機能を抑制することにより好中球分化を阻害し、白血病発症へと導くと考えられた。一方、AML1は転写コアクチベーターp300/CBPと結合し、この結合に必要な AML1の領域は分化阻害解除に必要な領域とよく一致することを見出した。また、p300はAML1による転写活性化および細胞分化を促進し、この活性にはp300のヒストンアセチル化酵素ドメインおよびヒストンアセチル化酵素P/CAFとの結合領域を必要とした。これらのことから、AML1はp300およびP/CAFとの複合体として機能し、この複合体によるヒストンアセチル化を介した遺伝子発現制御が骨髄性細胞の分化において重要であることが示唆された。