ABSTRACT 255(5-6)
白血病細胞で同定されたAML1/PEBP2aB突然変異体の機能解析:大里元美1、麻生範雄2、管野智彦1、重定勝哉1、伊藤嘉明1 (1京大・ウイルス研、2熊本大・医・二内)
Functional analysis of the AML1/PEBP2 aB mutants detected in leukemia cells: Motomi OSATO1, Norio ASOU2, Tomohiko KANNO1, Katsuya SHIGESADA1, Yoshiaki ITO1 (1 Inst. Virus Res., Kyoto Univ., 2 2nd Dept. Int. Med., Kumamoto Univ. Med. Sch.)
【目的】AML1/PEBP2αB遺伝子は成体型造血に必須な転写因子であり、t(8;21),t(3;21),t(12;21)などの染色体転座で融合遺伝子を形成し白血病化に関与していると考えられている。我々は染色体転座によらないAML1の異常(ミスセンス、ノンセンス、フレームシフト変異)が白血病細胞にあることを昨年の本学会で報告した。すべての変異はDNA結合能、βサブユニットとの結合能を担うruntドメインにおこっており高度な機能異常が予想されたためこれを検討した。【方法】DNA結合能、βサブユニット結合能をElectrophoretic Mobility Shift Assay, Affinity Column Assay, 細胞内局在を間接蛍光抗体法, 転写活性化能をM-CSF-Rプロモーターを用いたルシフェラーゼ法で検討した。【結果】1ミスセンス変異体を除く他の6変異体は、DNA結合能、ダイマー形成能、核移行能に種々の程度の低下を示し、転写活性化能を完全に失っていた。【考察】殆どの変異は今回検討した機能についてはloss-of-function変異と考えられた。点突然変異によりAML1の機能を失うことが、血液細胞の分化、増殖に異常をおこし、それが白血病化に何らかの役割を果たしている可能性が示唆された。