ABSTRACT 261(5-6)
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ラットmaf-2遺伝子の構造と発現制御:酒井正春,中林秀和,西信三(北大・医・一生化)

Structure and regulation of rat maf-2 gene: Masaharu SAKAI, Hidekazu NAKABAYASHI and Shinzo NISHI (Dept. of Biochem. Hokkaido Univ. Sch. of Med.)

癌遺伝子mafはbZip構造を持つ転写因子をコードする.我々は、ラットより2種のmaf 関連遺伝子cDNA (rat maf-1, maf-2)をクローンし、それらが軟骨、目の水晶体、脊髄等の分化段階特異的に発現していることを見いだした(Oncogene14, 745-750, 1997).脂肪細胞分化の過程ではmaf-2の発現が分化に伴って特異的に停止する.これらの発現特異性の機構を調べるためmaf-2 遺伝子のクローニングを行った.ラットmaf-2遺伝子はイントロンを持たない遺伝子で、その発現制御領域と思われる部位にE-box, TRE, CREなどに類似の配列が見られた.これらの領域をレポーター遺伝子につなぎ、筋肉、脂肪細胞、軟骨に分化することのできる細胞株、C3H10T1/2に導入して発現制御に関わる領域を調べた.その結果、Maf 自身によって強く活性化されAuto-regulation 機構が働いているものと思われる.MyoDによっても転写の活性化を受ける.ゲルシフト分析、フットプリント分析によってこれらの結合部位を調べた結果、これらの転写因子が結合する複数の部位が同定された.さらに、PPARgammaによっては転写抑制を受けることから、脂肪細胞の分化の過程での転写抑制はPPARgammaによるものであることが示唆された.