ABSTRACT 281(5-8)
Multiple PDZ domain-containing proteinによる細胞間接着部位へのcateninの集積:井手陳之1、畑裕1、出口真紀1、矢尾育子1、入江美奈1、平尾和世1、高井義美1,2(1科学技術振興事業団・ERATO・高井生体時系プロジェクト、2阪大・医・分子生理化学)
Accumulation of catenins at cel-cell junctions via the interactions with multiple PDZ domain-containing proteins: Nobuyuki IDE1, Yutaka HATA1, Maki DEGUCHI1, Ikuko YAO1, Mina IRIE1, Kazuyo HIRAO1, Yoshimi TAKAI1,2 (1Takai Biotimer Project, ERATO, JST, 2Dept. Mol. Biol. & Biochem., Osaka Univ. Med. Sch.)
密着帯、接着帯、神経シナプス結合などの細胞間接着部位には各種の細胞接着因子、受容体、シグナル伝達物質が集積し、細胞増殖・分化のシグナルを伝達する特異的サブメンブレン構造として機能している。とくに密着帯、接着帯は上皮系細胞に発達しており、癌の病態との関わりが示唆されている。私共は神経シナプス結合の構成因子の同定を通じて、N末端にguanylate kinase domainをもち、さらに2つのWW domainと5つのPDZ domainをもつ分子を見い出し、S-SCAM (synaptic scaffolding molecule)と命名した。S-SCAMは神経伝達物質受容体・神経細胞接着因子と結合し、これらの分子を神経シナプス結合に集積している。さらに、私共はS-SCAMのPDZ domainにWnt/Wingless系シグナルに関わるb cateninとその類似分子d cateninが結合することを見い出した。一方、非神経細胞にはS-SCAMと高い相同性をもつ分子MAGI-1が報告されており、MAGI-1のPDZ領域にもcateninが結合する可能性がある。MAGI-1の細胞内分布の詳細は不明であるが、MAGI-1は密着帯、接着帯の構造に関与することが想定される。したがって、S-SCAM/MAGI-1はcateninを神経シナプス結合ないし密着帯、接着帯に集積し、効率的なシグナル伝達を支持している可能性がある。